woSciTecの考察

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新型コロナウィルスの弱毒化をマスク着用が促進するか?

はじめに

現在、第二波がピークアウトしそうな状況です。前回の記事では、新型コロナウィルスが弱毒化遷移によって、大多数が弱毒化した亜種になりつつあるのではないかと考察しました。今回は、マスク着用などのディスタンシングが新型コロナウィルスの弱度化を促進する可能性について述べます。

お断り

この記事は多分に推測に基づいており、科学的なエビデンスには必ずしも基づきません。

前提

感染者が咳などで排出したウィルス粒子には、不完全のものが、かなりの割合で含まれていることが可能性として考えられる。不完全なウィルス粒子とは、遺伝情報であるRNAが含まれない、あるいは、部分的に欠損しているとか、重要な遺伝子の機能が弱まるような変異が入っているとか、そういったウィルス粒子である。

dosage effect (量的効果)

まだ感染していない人が、感染者からウィルス粒子を受け取って感染するときのことを考える。ウィルス粒子を多数受け取れば、その中に感染性、病原性を十分に維持した株が含まれている可能性が高まる。逆に、ウィルス粒子の数が少なければ、そこに感染性、病原性を十分に維持した株が存在しない可能性が高まる。

このように、多量のウィルス粒子に接して感染した場合と、少量のウィルス粒子に接して感染した場合では、感染性、病原性を十分に維持した株が含まれている可能性が異なると考えられる。

多量のウィルス粒子に接して感染した場合では、完全なウィルス、不完全なウィルス間の競合では完全なウィルスが勝利し、ほぼウィルス機能が損なわれることなく(病原性を維持したまま)次のヒトに感染を広めることになるものと考えられる。

一方で、少量のウィルス粒子にさらされ、感染性や病原性が弱まったウィルスのみを受け取った場合はどうであろうか?弱まったとは言え、次のヒトに一定の割合で感染を広めるであろうが、伝達されるのは、感染性、病原性が多少低下した変異体である。

このように考えれば、マスクをしっかりとするなど、フィジカルディスタンシングをしっかり行うと、新規感染時にウィルス粒子摂取量が減るために、弱毒化を推進する効果があると考えられる。

山中先生が仰る、未知のFactor Xは、フィジカルディスタンシングをしっかり行うことができた、社会的状況である可能性が考えられる。フィジカルディスタンシングがしっかりできているために、日本ではウィルスが強病原性を維持しにくい環境となっているのかもしれない。

おまけ

ウィルスの潜伏期間が最長2週間と長いのは、異なる理由によって病原性を発揮できなくなった複数の変異ウィルス間で遺伝情報の交換が起き、しっかりとした病原性を再獲得するまでに時間がかかるためかもしれない。

おわりに

ウィルスの変異の蓄積によって感染性、病原性が低減したことが第一波の収束につながったのかもしれません。第二波が収束しそうな気配がありますが、これも同じ理由によるのかもしれません。次の記事では、「感染の波」がどのように形成されるのか、量的効果を踏まえて考察し、今後どのようなことに注意を払うべきか考えます。