woSciTecの考察

サイエンスとテクノロジーに関して、考察するブログです。

潜伏期間に新型コロナウィルスは何をしているのか?

はじめに

新型コロナウィルスは、感染から発症まで最長2週間かかるということである。この間、何が起こっているのであろうか?

お断り

この記事は、多分に想像に基づき、科学的エビデンスには基づきません。

発症とは?

発熱にせよ、咳にせよ、だるさにせよ、これらは我々の体が、新型コロナウィルスの存在に気がついて応答を始めたということなのだと思われる。

ロキソニンという薬があるが、これはプロスタグランジンという痛み物質の生合成の阻害剤とのことである。プロスタグランジンの生合成を阻害すると発熱が抑制される、ということは、発熱という現象は、ウィルスの直接的な作用によって体温が上昇するものではなく、我々の体の防御機構が働いた結果として、発熱している、ということである。

ウィルスがかなり増殖するなどして、体の免疫機構が感知してはじめて、発熱などの症状が現れるのだ。おそらく発熱は能動的な応答と言ってよい。 (味覚嗅覚の異常が症状として言われているが、これらは受動的な反応かもしれない)。

潜伏期間は、ウィルスが結構増え、体がそれを感知して、「何かいるぞ!排除するぞ!」となるまでの期間であると考えることができる。無症状だったが、検査をしたら肺に影があったとか、無症状だったが感染が発覚し、その後症状が出た、と言うような記事は何度か目にした。

これらのことからは、発症とは、我々がウィルスの存在に気がついて、防御機構を発動するということであると考えられる。

なぜ潜伏期間が長かったり短かったりするのだろうか?

おそらく潜伏期間は、感染者によって異なる。情報元を押さえてはいないが、平均4、5日、最長2週間ということだったと思う。潜伏期間の長短は、感染者の免防機構の応答性によって決まっているのかもしれないが、ここでは異なる可能性について述べる。

その可能性について述べる前に、前提を述べておく。詳細はこちらの記事を参照してほしいが、おそらく新型コロナウィルスは、複製能力に欠陥があり、感染者から排出されるウィルス粒子の一定の割合は(ウィルスにとって有害な)変異を抱えている。変異は偶発的なもので、ウィルス粒子によって変異は異なっている。

遺伝的欠陥を有するが、完全に毒性を失ってしまってはいないようなウィルスが複数種類生じ、これらが同じ人に感染することを考える。これらは感染者体内で時間をかけてゆっくりと増殖し、数を徐々に増やす。ある時、2種類のウィルスが同時に同じ細胞に偶発的に感染し、この細胞内で遺伝情報の交換が起きる。これによって変異の悪影響をまぬがれたウィルス粒子が再構成されて、急激に増殖して、発症へと至るのではないか?

言い換えれば、潜伏期間(特に長い潜伏期間)には、複数の変異ウィルスが変異をお互いに補い合って、機能するウィルスゲノムを再構成している可能性がある。

推測の推測

若者/子供は、発症しにくいとされている。また(これも引用は示せないが)、子供は新型コロナウィルスが人細胞に侵入するときの人細胞上のタンパク質ACE2受容体の発現量が少ないとされている。ACE2受容体の数は、ウィルスへの感染のしやすさに加えて、2つ以上の変異ウィルスが同じ細胞に同時に感染する確率を決定しているのではないか?

ほとんどの細胞がACE2受容体を発現しておらず、1つだけ発現しているような細胞が大多数ある、という状況下では、上記のゲノム再構成が起こりにくい。これが、若者/子供が発症しにくい理由の1つではないだろうか?

終わりに

この記事は想像に基づく。エビデンスが出るまでは明らかではない、というのは科学的に正しい姿勢だが、一方でエビデンスがしっかり出るまではなにもわからない、のは残念である。いまコロナ渦中にあって、エビデンスが出る前に、いくばくなりとも何が起きているのかについて、考えられる可能性を考察して提示できれば、と思っている。

ここで述べた可能性については、正しいか、正しくないか、時間をかけて解き明かされるかもしれない。